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さて邸へは忍び込んだもののこれから先どうして善いか分らない。

そのうちに暗くなる、腹は減る、寒さは寒し、雨が降って来るという始末でもう一刻の猶予が出来なくなった。

仕方がないからとにかく明るくて暖かそうな方へ方へとあるいて行く。
今から考えるとその時はすでに家の内に這入っておったのだ。

ここで吾輩は彼の書生以外の人間を再び見るべき機会に遭遇したのである。

第一に逢ったのがおさんである。これは前の書生より一層乱暴な方で吾輩を見るや否やいきなり頸筋をつかんで表へ抛り出した。
いやこれは駄目だと思ったから眼をねぶって運を天に任せていた。しかしひもじいのと寒いのにはどうしても我慢が出来ん。

吾輩は再びおさんの隙を見て台所へ這い上った。すると間もなくまた投げ出された。
吾輩は投げ出されては這い上り、這い上っては投げ出され、何でも同じ事を四五遍繰り返したのを記憶している。
その時におさんと云う者はつくづくいやになった。この間おさんの三馬を偸んでこの返報をしてやってから、やっと胸の痞が下りた。

吾輩が最後につまみ出されようとしたときに、この家の主人が騒々しい何だといいながら出て来た。
下女は吾輩をぶら下げて主人の方へ向けてこの宿なしの小猫がいくら出しても出しても御台所へ上って来て困りますという。

主人は鼻の下の黒い毛を撚りながら吾輩の顔をしばらく眺めておったが、やがてそんなら内へ置いてやれといったまま奥へ這入ってしまった。
主人はあまり口を聞かぬ人と見えた。

下女は口惜しそうに吾輩を台所へ抛り出した。
かくして吾輩はついにこの家を自分の住家と極める事にしたのである。

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